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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介 

こんにちは〜 こんにちは〜 世界の国から〜♪

 三波春夫の伸びやかな歌声が今にも聞こえてきそうだ。

 当時私は小四で家族六人が大阪吹田の親戚の家に宿泊したことを思い出している。

 日本全体が熱く沸騰していた。

 直美の祖父がA級戦犯であったことの必要性がわからない設定であるが、直美が上流階級に属していたことを描きたかったためだろうか。A級戦犯の祖父を持った直美の屈折は感じられない。

 小説の後半で「あなた、朝鮮人の子供を生むつもりなの?」という明らかな差別的問いかけに私の心臓は早打ちを始めた。今は潜めてしまった「朝鮮人」は50年近く前は差別という認識もなく使われていたように思う。

 この小説はラブストーリーに属し、大ベストセラーとなり、再ブレークしたものだがそういった評価を受ける理由が私にはわからない。

 直美が死を前にして家族に残したかったのはなんだろうか。私はこんな激しい恋に落ちたのに世間の目を乗り越え恋を成就できなかったことの無念なのか。

 私は背景に描かれた、当時知り得なかった万国博覧会のコンパニオンの裏側を覗き見し、1970年の日本の熱さをを知ることができ、ノスタルジーにどっぷり浸ることができた。