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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

愚かな薔薇 恩田陸著

何の情報もなく読み始めた。随分派手なカバーだなぁ、と思ってよく見ると萩尾望都の描いた期間限定カバーではないか。その上、「萩尾望都 絶賛」と書かれている。今更の思いで情報を求めた。

この小説は14年間の連載を経て書かれた美しもおぞましい吸血鬼SFで、2021年12月に刊行されたファンが待ちに待ったものであった。

吸血鬼SFといえば萩尾望都、1972年に開始された連載漫画を夢中で読んでいた記憶が蘇った。別冊少女コミック1972年3月号から断続的に連載され1976年6月号で完結。なんと2016年7月号から「月刊フラワーズ」に掲載され断続的に連載が再開とある。40年も後に再び連載されていたとは私にとって衝撃的事実。「ポーの一族」のあらすじはほぼ忘れてしまったが、この異色の作品に囚われ、漫画本を読み漁り始めたのであった。

愚かな薔薇はページ数も多く、何度も行ったり来たりで前に進めなく中断しながらその後一気に読破した。浩司と奈智の関係がもっと書き込まれると想像していたが意外にも浩司の一方的な熱い想いだけであった。奈智の深志への愛が予想以上に強く書き込まれていて終盤戸惑ってしまう。まだ奈智は中学生なのに・・・若い故の熱さなのかもしれない。そして最後のお祭り的な終わり方に多少違和感が残った。カバーに書かれている「美しくもおぞましい」はこの作品には似合わない形容だ。血を吸う行為は描かれているがそれは甘美でしかない。

愚かなバラは枯れない。咲いたまま、永遠に散らないし、枯れない。だから愚かなバラ、という。愚かなバラを選択し意識となって消滅しない未来を私は望まないのだが、人類の選択は如何に。