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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

うちの子が結婚しないので 垣谷美雨著

女性特有のテーマを扱う著者の小説のタイトルに大抵の人は惹きつけられる。テーマの多くは著者の社会に対する怒りのようだ。

昨年公開された「老後の資金がありません」という映画も話題になっていた。以前ブログで紹介した「農ガール、農ライフ」も著者の作品である。

婚活に関する描写は他の作品でも描かれており、「またか」の感想をもったものの読み進んでいくうちに婚活者の結婚観が年代により大きく変化しているのがわかる。私の結婚感は主人公千賀子に最も近い。結婚相手は自分で見つける世代であり他人の力を借りて見つけるなんて冗談じゃないと見合いを否定していた。

ところが現世代になると世の中は大きく変わり、非正規雇用が圧倒的に増加しそれに伴い結婚することさえも消極的になっている。また男女の出会いの場がホントに無くなっているようである。働きに余裕が持てる職場はそうそう多くなく、職場と家との往復だけしかない独身者のなんと多いこと。

子の結婚に親がしゃしゃりでなければ縁遠いままなど考えてもいなかったが、時代は変わったのだ。男尊女卑は昔の話だと思っていた私だが、夫の呼称に関する話を友人から聞くことがあり、世間では男女差がフラット化しているように見えるが、潜在的な男尊女卑は残っていることに気付かされた。

婚活に真剣に取り組んだ友美は納得できる伴侶を選ぶことができ、めでたしめでたしの結末である。

小説は2018年に雑誌で発表されている。現実社会を突きつけられた内容であった。女性は強くなったというけれど家事、育児負担は相変わらず女性側に残り続けていることを再認識させられた。