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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

老妻だって介護はつらいよ 沖藤典子著

タイトルに惹かれて読み始めたが、まてまて、この作者名に聞き覚えあり。ノンフィクション作家の沖藤ではないか。「女性が職場を去る日」の著者であった。

読みにくい内容であり、そして愚痴も多い。「高齢社会をよくする女性の会副理事長」(2015年当時)でもあるせいか介護の知識が豊富であり、意識高い系であるゆえの強引さも目に付く。また、不仲の夫であったから怒り心頭に発っする描写が多いのかもしれない。

娘からの怒声で母娘の関係について世間で多くの本が出版されていることに初めて気づいたようだ。「重たい母、鬼母、魂の支配者等々、娘を苦しめる母であったことに。実の母親は、成人した娘が恐ろしくておろおろしあげくに無視される。」この一文は私にとってイタいものでもあった。私も母からこのように思われているのではないかと日頃の言動を反省するに至った。

著者の夫に対する怒り、介護制度に関する怒り、最も主張したかったのは共に暮らしてきたからと納得して夫の世話をわけではないし、妻なんだから当たり前だと世間から押し付けられたくないことだろう。家庭内別居の仮面夫婦の場合は余計に「夫の介護なんて」となるのは想像できる。所々に散りばめられた「パパ、ママ」で始まる会話を読むと、共に暮らしていることはある意味同志的な要素も持ち得るのだとも思うのであった。

第九章の「結婚以来の思いを」は書かない方がよかったのでは、と思う。今さら夫との不幸の思い出を活字にして何になるのか、今まで以上に娘から疎まれることになりそうだ。墓場まで持っていってもよかった内容である。とはいえ著者は書かずにはいられなかったのであろう。全て吐ききって夫の弔いをしたかったのかもしれない。

エピローグで夫の不在の寂寥感が書かれている。不仲とはいえ共に歩んだ道は長く、居なくなってみれば怒り以外の思い出が勝るのだなぁ。嵐は過ぎ去り波穏やかな日々が戻り始めた。