「実録」家で親を看取る 中山庸子著
体験談として残しておきたかったのだろうか。著者は書き上げた感があるかもしれないが、読者は中途半端な体験談を聞かされた気になってしまう。私自身のこれからの実践マニュアルとしても利用できない。介護といっても十人十色なのだから全てが参考になるはずもないのだが。
作者の家族構成、主に介護に携わった筆者の母親のその時々のメモ、家の見取り図等々、詳細な記録もわかりやすく掲載されているが。エッセイスト、イラストレーターでもある著者は「夢ノート」シリーズが有名なようである。これは自らの夢を叶えてきた経験を綴った内容で多くの女性の支持を得てきたようだ。明るい題材を選んで書いてきた著者だから故か、この本は介護の実録だが、暗さや重さはない。活字のポイントも大きく読みやすいのであるが、反面それぞれの内容に厚みが無いのは残念である。