やさしい猫 中島京子(なかじま きょうこ)著
読売新聞に連載されたものに単行本化のため加筆された。2017年に東日本入国管理センターでベトナム人男性が亡くなった事件がこの問題に興味を持ったきっかけだという。新聞連載中に名古屋出入国管理局に収容されていたスリランカ人女性が亡くなった。調べてみれば同様の事件は幾度か起きているにも関わらずなんの改革もされていない。小説にも書かれているが日本人として恥ずかしい事実である。そして日本の難民認定率は0.3%で先進諸外国と比較して著しく低いのである。
作品は不幸な結末を迎えずホッと胸を撫で下ろしたのだが、難民に関する自分の無知を恥ている。これを読むことで全然知らなかった入国管理局の仕事が多少わかってきた。
牛久の東日本入国管理センターの近くにある牛久大仏は本当に大きい。私は色々な方向からこの大仏の写真を撮った。中にも入ることができる。入国管理センターが大仏のそばにあったなんて当時知る由もなかった。
複雑な難民問題をわかりやすく読むことができ、改めて著者の筆の確かさを認識した。