”黄色い実 ” 紅雲町珈琲屋こよみ 吉永 南央(ヨシナガ ナオ)著
舞台は北関東の、観音様が見下ろす街・紅雲町。主人公杉浦草はコーヒー豆と話食器の店「小蔵屋」を営んでいる。「日常の謎」系ミステリーシリーズであるのだが、今回は内容が重い。
小説の最後に作者の付記があり、小説では性犯罪の被害者、加害者、それを取り巻く世間の人々が描かれている。こういった事件が発生するたびに心が痛む。被害者の緒里江の強さに喝采を送るが世間は冷たい。そして久美が警察に行けない気持ちも痛いほどわかる。今後、世間からのセカンドレイプはSNS利用が広がっている現代は表面化しないだけにもっと根が深くなるように思われる。
上手い小説であるが、読後はモヤモヤが晴れない。昨年10月にシリーズ10冊目が発表されている。