カムカムマリコ 林 真理子(ハヤシ マリコ)著
週刊文春の連載エッセイである。作者は1983年8月4日より連載を始め「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に公式認定された。この本で33巻となる。
2021年のエッセイなのでコロナ、東京オリンピック、眞子さま等の話題が多い。ほんの少し前だというのに当時が懐かしい。コロナ禍の東京の様子は報道されているものと大きく違う。個人の言動が報道されることは多くないのだからさもありなん、ではあるけれど。派手に遊んでいた人々も当然いるのだなぁ。財力の違いは大きいのだろうが。
シャネルのスーツに関する描写は懐かしい。もう40年近く前のバブルの時であったという。著者がパリのシャネルでスーツをオーダーしその過程を某雑誌に記述していた記憶がある。とても興味深く読んでいた。金額を間違えて自腹でオーダーした事実があったとは。当時売れていたとはいえ太っ腹な行動に拍手したくなる。著者の多くの欲望を満たすために投入されたお金はいかほどであろうか、そのおかげで忖度なしのその時々の様子がよくわかる。
日大理事長に就任し多忙の中で今後どれだけ執筆量が減少するだろう。そしてこれまで通りおもねらない文章を書けるだろうか。変わらない観察力を期待したい。