能面刑事の奮迅 中山 七里(ナカヤマ シチリ)著
「能面刑事」が2018年に刊行されている。検察ミステリー第二弾である。この小説を読んで検事の仕事について知識を得た。テレビドラマでも検事が主人公というのを何度か見たことがあったが、小説の方がはるかに検事の仕事がわかりやすい。一気読み必死、との書評もあった通り寝る間を惜しんで読んでしまった。最終の詰めが弱いのが難点である。四章の半ばで私は力尽きた。いつもの「ミステリー最終覗き」をしてしまったのだ。
国有地不当払い下げ、公文書改竄、贈収賄疑惑といった話題性のある内容が散りばめられ、数年前の事件が彷彿された。当時の事件は結局モヤモヤのまま終了してしまったのだが。この小説の三章までは面白い展開であったのに安易な着地で終わったと思うのは私だけか。
著者は多くのシリーズモノを書いている。著者の作品を何冊も読んだわけではないが、音楽ミステリーは面白い。本人は音楽に関して素人だというのに大したものだ。基本的に取材したり資料を読むことはなく、メモも取らないという姿勢らしいが、それなのに一気読みさせる小説が書けるとは脱帽である。