えにし屋春秋 あさのあつこ著
初期の作品、児童文学「バッテリー」は、のべ1000万部を超えるベストセラーである。その著者が現在時代小説を書いていたとは、まるで認識がなかった。
流れるようなストーリーでとどまることなく一気に読み進んでしまい寝不足の一日であった。「その一」では”おまい”が物語の中心で私は”初”にさほど注目しておらず、おまいの成長物語がもう少し描写されるのだろうと思っていたが。「その二」では、えにし屋”初”の物語となっていく。私がえにし屋にたどり着いた吉野が語る妻の化け物話の場面に差しかかったのはちょうど丑三つ時、背筋が寒くなり思わず暗い部屋の中を見渡した。妻は化け物ではなかったものの壮絶で身の毛もよだつ話がのちに展開される。
シリーズ物の多い著者であるが、第二弾はあるのだろうか。初の活躍ぶりを読みたいような気もする。