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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

口福(こうふく)のレシピ 原田 ひ香(ハラダ ヒカ)著

 料理の匂いが漂ってくるような描写が多い。このレシピなら私も作れそうだ、などと思いながら読み進んだ。主人公の曽祖母である「しずえ」と主人公の留希子が品川学園を救った「生姜焼き誕生秘話」を通して物語は交錯する。

「木曜日の冷や汁」の中に坂崎がすり鉢の内側に魚と味噌の混合物を塗りつけ、それを炙る描写がある。現在一般に使われているガスコンロでこの作業ができるのは、よほど古い型のコンロか業務用コンロでなければできない。現代キッチンに置かれた大半のコンロは安全対策が施され五徳の上に鍋が置かれていなければ点火しない仕組みとなっている。調理は”安全第一”が叫ばれるようになり鉄のフライパンを振り上げながら火を通すようなダイナミックな調理は一般家庭から消散してしまった。

 「日曜日のスープ」では竹橋駅のパレスサイドビルにンナーズスペースがあることが書かれている。皇居周辺はランニングする人の聖地で着替えやシャワーもができれば職場に居ながらにして休み時間にランニングを楽しむことができる。そんな現在の都心の様子がさりげなく描かれていたりする。

 原田の作品を読むたびに「美味しい料理が食べたい」の読後感を生じるのは私だけだろうか。今日もご馳走様でした。