ぱりとろ 秋の包み揚げ(まんぷく旅籠朝日屋) 高田在子(タカダ アリコ)著
近年江戸を舞台にした料理屋の話は多い。少々疲れ気味だったので軽い美味しい話で気持ちを緩やかに、なんてことで手に取ってしまった。
人物描写に難ありが最後まで続く。主人公を取り巻く人物が多すぎ、それぞれとの出会いがあまりにもご都合主義。まあ読み物だから、と読み進んだが最後まで違和感を取り除くことはできなかった。
料理小説らしく、描かれている料理の数々は十分美味しそうなのだが、旅籠屋料理からはほど遠く、毎回これだけ手間のかかった料理を作り続けるのは時間的にも金銭的にも無理だろう、と突っ込みたくなる。旅籠屋で働く人々に給金を支払うことを考えるとあまりにも無理な設定が続く。物語であってももう少し現実的であってほしい。
シリーズ化された初期の作品であり、最新版を読んでいないのでこなれてきたか否かはわからないが、出版が続いているのだから読者がついたのであろう。