潜入・ゴミ屋敷 笹井恵理子(ささい えりこ)著
取材のため整理清掃業者の一員として働いた体験記でもある。
ここに書かれているゴミ屋敷ほどの酷さではないけれど、昨年解体した我が家の離れも少し似ている。居住空間ではなかったので不用品が何年も押し込まれていきゴミの山。高齢になった両親の手には負えない。ゴミか否かは持ち主の考えによって大きく違う。居住者の了解がなければたとえ生活を圧迫していてもゴミ処理は始まらない。我が家も説得から始まったゴミ処理問題。
ゴミを溜めてしまう状態に陥る一つの原因として「ため込み症」という精神疾患があるらしい。また、強迫症の症状の一つにものを溜め込む症状もある。うつ病、発達障害、統合失調症、認知症などの精神疾患でも物をためこむ病態は起こり得るという。
ゴミ屋敷に陥る人は独身者が多い。家を片付けそれを維持するには”伴走者”が必要となる。弱くゆるい人間関係でも人との繋がりを持っていれば救いはあるようだ。日本の婚姻率も年々低下中でこれから一層の高齢化社会を迎える。この先この問題が増加していく可能性は大きいだろう。
清潔な人間らしい暮らしを死ぬまで続けたいと思うのであった。