駒子さんは出世なんてしたくなかった 碧野 圭(あおの けい)著
お仕事小説である。小説を読む楽しみの一つ「知らない世界がわかる」。著者はデビュー前は出版関係の仕事をしていたのでその内情を詳しく書けるのだろう。また、女性が職場で働く困難さもリアルに描かれている。
駒子の夫、達彦は専業主夫として家庭を護っている。息子の櫂が不登校となりそれが原因で達彦はフリーカメラマンをやめ家庭に入っている。一般家庭の妻と夫の役割が反対になるだけ。家庭における適材適所はなかなか世間で認められない(男女の家庭における役割について言いたいことは山とあるが)。
職場では新規事業が強引に立ち上がり出世競争に女性管理職の駒子と岡村は巻き込まれていく。結果的には大円団を迎えたのだが会社内での女性の役回り等々、現在日本職場の闇の部分。40年近く働いていた私は当事者にならないことで勤め上げられたのかもしれない。
セクハラ、パワハラが蔓延したところで組織は続く。したたかにならなければ働けない。