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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

32歳。いきなり介護がやってきた。 あまのさくや 著

 介護の実話である。著者は32歳で突然両親の介護の主担当となった。その10年間あまりの出来事がまとめられている。

 父は63歳でアルツハイマー型認知症と診断され、母は61歳で十二指腸乳頭部がんステージ4を宣告される。4歳上の兄と9歳下の弟という兄弟構成。

 自身の生活もおぼつかないのに突然降って沸いたような両親の介護に翻弄されることになったという慌てぶりが生々しい。私のように60歳過ぎた定年後にそろそろはじまるなーと諦観していたのとは大きく違う。介護の始まりと終わりは予想がつかない。いつ始まっても大変だが、母は亡くなり、父は施設に入ってしまった著者。これから自身の新しい生活を始められるのはある意味幸いであったかもしれない。

 人生百年と言われ始めた現在、どう生きていくのが幸福なのか。老いてくればいつかは認知症にもなるであろう。身体が健康だと要介護にならぬまま支援を受けていかなければならない。肉親が身近にいない場合自治体等からの支援は認知症になった本人が依頼しなければいけないのだろうか。明るい未来を掴むことができるのか真剣に悩む昨今である。