
書店ガール 碧野 圭(あおの けい)著
書店ガールは2012年から2018年に全7巻が刊行されている。
今回読んだのは1、2巻で女性書店員のコンビを主人公とした職業エンターメント小説である。出版業界、書店員の仕事内容について著者の知識は驚くばかりである。フリーライター、編集者の経験があるからこそ書けた部分も多いのであろう。私自身が書店内でバックグラウンドを覗いている様な感じでもあった。
舞台は東京の吉祥寺の書店。私は首都圏に住んでいた時に吉祥寺には頻繁に通った。吉祥寺は書店が多かったのだが今もそれは変わっていないのだろうか。
本に書かれていたことであるが、今ではごく当たり前になった書籍に付けられたPOPに込められた書店員の思いや書店員の給与は高くないのに本が好きだからという理由で働いている多くの人。サイン会、ブックフェアを開催する裏話等はとても興味深い。
1巻の25章に「吉祥寺を舞台にした作品」がラインナップされており、文芸・雑誌コーナーに並べられている本の題名、著者を読みながらあれらの本の舞台は吉祥寺だったのかと改めて思い出していた。と言っても題名は知っているが目を通していないものは多数であるが。
2巻の8章の冒頭に戦前の少女小説家”吉屋信子”が記されている。本の内容と全然関係ないのだが、鎌倉にある吉屋信子記念館を訪れた事を思い出してしまった。
1、2巻ともに興味深いものであり、この小説を通じて自身と本との関わりを見つめ直す機会ともなった。