新しい茶道　松村 宗亮（マツムラ ソウリョウ）著

　書かれている内容はこれまで多く出版されている茶道本と大きく違うわけではないが、初心者にわかりやすく伝えたい、との意図で書かれたものである。所作の解説、掲載されている道具が新鮮で道具の取り合わせも面白い。堅苦しいイメージの強い茶道は考え一つでこれほどポップな空間になるのかと驚かされる。

　年に数度お茶席に足を運んでいる。若かった頃に習っていた亭主と主客との会話が変わって来たように思える。変わったのは亭主側でなく客である。素人なんだけど、のような挨拶をして素朴な問いかけをしたりする。応える亭主の声がもう少しハリのある大きな声ならありがたいのだが、大抵はあまり響かぬ声と回答。お稽古ではないのだから決まりきったやり取りから脱する事はできないだろうか。

　こんな面白い道具の取り合わせの茶会に誰か招待してくれないものか。美味しいお茶を一緒に飲みましょう、と誰かを誘いたくなる、そんな本であった。

　著者はYouTubeチャンネル「茶人　松村宗亮の一客一亭」で解説している。興味があればそちらもどうぞ。