ワケあり式部とおつかれ道長 奥山 景布子(オクヤマ キョウコ)著
系図が頻繁に出てくるのだが、何度見ても覚えられない。「源氏物語」は読み物としていつの間にか名前や個々の関係性がわかったのだが、物語を離れて歴史上の人物となるとさっぱり関係がわからなくなる。
一条天皇の時代を知れば知るほど、源氏物語は紫式部が架空の世界を描いたのではないことがわかる。歴史上の真実の方が物語よりずっと奇であったのではないか。
この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる ことも なしと思へば
道長の有名な歌であり、藤原道長は勝者だと日本史で習ったのだが、案外そうではなかったのかもしれない。兄達の死が重なり運を味方に勝ち上がってきたようにも見える道長であるが安泰の時はどれほどの期間であったのだろう。権力を手にいれるために死闘を繰り返し62歳でこの世を去った。
平安時代は決して優美なだけではなく今の時代とさほど大きく違っていなかったように思われる。