あれから(俵万智3・11短歌集) 短歌 俵万智(たわら まち)、絵 山中桃子(やまなか ももこ)
2011年3月11日の東日本大震災で被災した俵万智の短歌である。発行は一年後の2012年3月11日だ。幼い息子を連れ仙台を離れ、南の島で暮らした時に詠んだ短歌集だ。
新年早々、能登に大きな地震が発生した。年末に借りてきた短歌集だったのに。予感がしたわけでもなかったのだがあまりの偶然。読んでいて当時のことと現在がシンクロする。
仙台に電話をすればそこにある風呂なし食料なしの生活
災害に遭うと言うのはこう言うことなんだなぁ。ナイナイ尽くしの生活。時が解消するとは言っても目処も立たぬ。
「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
この歌を読むと逞しく成長している息子の存在は希望のように思える。元の生活には簡単に戻らないけれど、少しづつ前進中。
能登の地震復興が容易ではないことは十分承知しているが、前進するしかないのだ。災害列島日本だから誰の身にでも起こり得ることと覚悟を決めて生きていこう。