こんな感じで書いてます 群 ようこ(むれ ようこ)著
40年あまり執筆活動を続けている著者がどのような思いで文章を書き続けてきたかといった内容である。2021年〜2023年の「小説新潮」に連載された2年分のエッセィが掲載されている。
著者はこれまで140冊以上もの作品を世に送り出している。長者番付は個人情報保護のため2005年以降は発表されていないが、一時作家部門の20位以内に入っていた時期もあった。母と弟に騙されて家を建てそのローン返済が莫大なため昼夜必死に書き続けたこと、母への月々数十万の仕送りや母の着物代を負担していた時期も長かったようで馬車馬のように書き続けた粗製濫造時期もあった。(本文にも触れられているが、具体的な内容は著者の140冊余りの本の中からお探しください。)
執筆にあたって淡々というか冷静な自己分析が続く。夢も希望もないけれど作家活動はこんなものだ、と後進に現実を伝えているとも言える。とりわけ本が売れない時代に作家となって儲けようなんて夢を持つな、ということかもしれない。
「あとがき」に本の雑誌社元社長の目黒考二氏の死に関しても触れられている。目黒氏の暮らしの真実を私も知る事ができて非常に興味深かった。