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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

貧乏国ニッポン 加谷 珪一(カヤ ケイイチ)著

 2020年発行である。日本国の低下が止まらない。今年に入って円が転がるように安くなっている。

 私が海外旅行に初めて出た頃1ドル170円台だった。これまでの最高値は2011年10月31日の1ドルは75円32銭。この年は東日本大震災の年だ。

 外国からの観光客が増えている背景は円安日本という事情もあるだろう。インバウンドの増加と手放しで喜べる状況では無いはずなのだが、報道を見る限りでは外国観光客が今以上になることを求めているようだ。

 第6章は興味深い内容だ。日本にやってくる中国人観光客の多くは中間層で高額所得者ではない。富裕層は米国や欧州に行くケースが多い。日本人は「おもてなし」上手だと考えているが、それは相手が中間層以下の場合に限定されているのだという。また、サラリーマン社長を一掃すべき、という主張も頷ける。市場環境に対する悲観的な見通しのまま、何も投資しないという状況が続いている。日本の組織は制度疲労を起こしており、この状況を改善しない限り不景気は解消しない。

 悲観してばかりでは一層低下していくだけである。著者は悲観論ばかりを書き連ねているのではない。生き残る方法も提案している。変化をチャンスと捉え、自身の利益を最大化できるよう各自行動すれば現状打破は可能だという。ポジティブな感覚を持つことこそが最大の経済政策である。これ以上日本が後退せず私が明るい老後を過ごすために頭を使っていきたい。