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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

書店主フィクリーのものがたり ガブリエル・セヴィン著 小尾 芙佐(おび ふさ)訳

 翻訳者の小尾氏は現在92歳の現役である。年齢を知り驚いている。本書を読んでいて訳者年齢相応の古臭さを感じることはなかった。一方著者のガブリエル氏は47歳。本書は既に15の国々で翻訳されている(2015年時点)。

 本好きの読者ならきっとワクワクして読み通しているかも知れない。本好きだと自認していた私だが、海外文学にまるで疎い事を改めて実感した。題名だけは知ってはいるが読んでいない本が文面から迫ってくる。知っていたらどんなに楽しさが募ったことか、とほぞを噛むのであった。

 ハラハラドキドキするわけではないのだがミステリーのような構成になっている。まさかの展開に驚かされた。幸福な物語のようであるものの複雑に不幸でもある。島唯一の本屋が閉店しなかったことに万歳を唱えたい。本屋消滅は日本だけの話ではなく他国でも起こり始めている問題なのかも知れない。大資本アマゾン誕生による不幸はじわじわと私たちの文化的生活を破壊しているようだ。