図書館のお夜食　原田 ひ香（ハラダ ヒカ）著

　こんな図書館があったら通い詰めてしまいそうだ。そして図書館にある食堂も魅力的だ。

　東京都立図書館あるいは日比谷図書館、それとも別の図書館かだったか、そこに食堂があったような記憶がある。食堂ではなく食事をしても良い場所だったのかもしれない。学生時代に時々そこで昼食用に持参したパンを胃に詰め込んでいたような。すっかり昔の話で記憶も曖昧だ。

　有料図書館で記憶にあったのは、東京六本木ヒルズ森タワー49階にあった「アカデミーヒルズ」だ。現在はどうなっているだろうかと調べたところ、2024年6月30日に閉館している。2003年から21年間学びの場であったが、結局足を運ぶ事がなかった。

　話の内容がもっと深まっていくのかと思いきや、ある意味半端な小説終了である。きっと悪い方向には転んでいかず、緩いながらも規律正しく穏やかな時間を過ごせそうな勤務場所は存在し続けそうだ。仕事は厳しいものといったイメージで考えていたがこの小説に描かれている個々人の善意で働く場所があれば魅力的だ。