とり天で喝!「ゆうれい居酒屋4」 山口惠似子(やまぐち えいこ)
著者は社員食堂の調理主任をやっていたこともあるせいか、簡単なのに美味しそうな料理がたくさん出てくる。調理レシピを残しておこうかとさえ思う。
このところ実用書ばかり目を通していて、久しぶりに筋を追う本を読んだ気がする。「ゆうれい居酒屋シリーズ」は初めて手にした。第20回松本清張賞を受賞している著者の作品は推理小説なのか、と想像していたが見事に裏切られた。読み始めるといつの時代を舞台にした小説なんだろうと年月がわからなくなってしまい読み返したりしたのだが、一話読み終えて「ゆうれい居酒屋」の表題に納得した。
事実描写も多く新小岩南口商店街に身を置いているような気にもなる。首都圏に在住していた時に新小岩駅に立ち降りたことがなかったので街を連想することができないのが口惜しい。今ではすっかり縁がなくなってしまった路地裏の居酒屋や人の波。米屋の女将のような他人に世話を焼くといった行為もそのうちに絶滅危惧行為となってしまうかもしれない。