老人ホテル 原田 ひ香(はらだ ひか)著
安定して読める作品を書く著者だと思っている。しかし読み始めて今回は途中放棄かもしれない、と不信感を抱いたものの、結局最後までスルスル読み終えた。気持ちよく読み終えると思っていたのに、最終コーナーを回って突き落とされた。天使(えんじぇる)は真っ当な道を進むのかそれとも・・・物語の結末は読者それぞれが判断することになる。
ひとくせ、ふたくせある老人たちから天使がこれまで身に付けられなかったものを習得させてもらったのに、彼女はこれまでの生き方から本当に訣別できるのだろうか。
生活保護を正当な理由でもらっている人たちにとってありがたくない内容かもしれない。あるあるとも読め、こんな方法もあったのか、と思わぬ受給理由にガッテンしてしまうのであった。物事は様々な側面から見ることができ、それを虚構であるのだが物語が出来上がってしまうことに唸らされてしまった。プロットライター所以である。
不動産、投資について光子や大木が天使に指南しているあたりは実用的でお金の学び講座のようであった。