「はじめて亭主を務めます。」ー正午の茶事(炉)イラストガイドー 榎本宗白監修 淡交社編
茶道を習っていたのは20代前半だから40年近くの空白期間ありだ。(40代の頃に1年弱稽古に通いはしたが)正午の茶事を体験したのは20代の時。新宿の「京懐石柿傳」で。茶事の亭主を務めることはこの先ないのだが、柿傳での体験が断片的に思い出された。
茶道を始めたとは言え、頻繁に稽古するわけではないので所作が全然身につかない。今更所作を自分のものにしよう、などと言う厚かましいことは考えていないのだが、所作が切れ切れになってしまうのは我ながら情けない。せめて場の流れは知っておきたい。しかし身体が覚え込まなくなった現在、このようなマニュアルがあるのはありがたい。
茶事に限らず、自宅に知人を招くこともほぼなくなっている現代。他人に喜んでもらうための準備に精根を費やすなど意味はない、などと簡単に否定されてしまいそうな現代社会にはほぼ不要な作法であるから興味深い。稽古だけでは知ることができなかった細々としたことをイラストともに理解できたのはありがたい。繰り返し読み込まなければ体に刷り込まれてはいかないのだけれど。