
グランドシャトー 高殿 円(たかどの まどか)著
大阪弁の小説は勢いがある。作者の作品の「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズで関西圏の上流階級生活を楽しんでいた。たまたま図書館でこの本を見つけたのだが、ストーリーに意外性があり想像以上に面白い。作者は関西を舞台にした小説が多く、関東圏に長く住んでいた私は土地勘が不足している。とはいうものの何度か歩いている大阪の中心部が舞台。ルーの東京進出で東京圏と大阪圏の商売や人に対する考え方の違いも比較されていて興味深い。私は5月に中之島で遊び大阪駅まで散策を兼ねて歩いたものだから、大阪がちょっと身近な街になったような気もする。
夜の歓楽街にまるで詳しくないので、キャバレーがどんな場所なのかよく理解していない。この小説はキャバレーが舞台ではあるが、エロさ、いかがわしさは無く筋の通ったカッコ良さを登場人物から感じることができる。
日本のキャバレーは戦後全国の歓楽街で広がりホステスとの会話を楽しみながらお酒や食事が楽しめるだけではなく、店内にあるステージで歌やバンドの生演奏が行われたりダンスや芸人によるショーが見られたりするのが特徴だという。1960年代〜1970年代に流行したが現在はほぼ残っていないという。