
あさ酒 原田 ひ香(はらだ ひか)著
食べ物の描写が上手い。深い読み物を目指さないとき、私はしばしば料理を描写している小説等を求めてしまう。今回もそうであった。お店の雰囲気、そこで開くメニューの中身、そしてそれに合わせるお酒、とまだ午前中の早い時間にお酒は、、、と抵抗はあるものの仕事が終わった後の開放感をたったグラス一杯のお酒は感じさせてくれる。
食べ物の話はいいのだけれど、そこに辿り着くまでの根幹となす小説の内容の乏しさが気になった。いつまでも煮え切らない祥子の言動、社長の亀山のいつも何か含みを持った言葉、そして何よりも主人公の恵麻の立ち位置。根幹である話がピリッと決まらない。朝酒がだんだん深酒になっていくように酒量が増えるのも気にかかる。爽快感がなくなってくる朝の食事の描写が心を重くする。作者は似たテーマで書きすぎたせいだろうか。ある意味マンネリ化ともいうのだろうか。再び著者の作品を手にすることがあるろうか。