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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

私と街たち(ほぼ自伝) 吉本ばなな著 

 作者は多くの賞を取っているが、芥川賞は取っていない。調べてみると海外にファンの多い村上春樹も取っていなかった。日本で権威はあるが、そこから縁遠くてもこの先も我が道を尖って進んでいくのだろう。

 「まえがき」に書いてあることは彼女自身が自覚している事実なのかもしれないが、第三者から見ればどれだけ正しいことであろうか。「今なら発達障害と呼ばれるであろう私」会って話をしてみたい。

 エッセィの初出は2019年〜だ。作者の思い出の町が描かれている。私も大学進学で上京して以降しばらく首都圏在住者であり、東京都区内はかなりの頻度で歩いていた。私の歩いた多くの町は西東京で東京の東側はテリトリーではなかったので詳しくない。とは言え作者と年代が近いこともあり、50年近く前の東京の町は懐かしい。

 「西伊豆土肥」2004年に伊豆市となり、土肥町はなくなっている。私も何度か土肥町で遊んだ。伊豆市になった頃から足が遠のいてしまったようだ。ゆるかった時代でもあり、温暖化もまだ著しく表面化していなかったので浜はまだ広く海の家も林立して海で遊ぶのが当たり前だった。

 作者の町の記憶と私の知っている時代の記憶が重なっていて当時のことを思い出してしまった。