生きる言葉 俵 万智(たわら まち)著
「いま、言葉の時代だなと思う」と冒頭の記述がある。無意識であったが、私自身ほぼ毎日言葉を発信している。家族や友人に対する話し言葉だけではなく、メールで毎日誰かに語りかけている。
朗読会をzoomで行っているが、その時、この本を紹介し第5章の「言い切りは優しくないのか」を紹介し、参加者が私と同年代の男女であったこともあり共感を得た。
その章にしばらく前に話題となっていた「マルハラ」について記述されている。マルハラとは中高年がLINEなどのSNSで送信する際、文末に句点を付けることが威圧的に取られるという話だ。私は当時マルハラの何が問題なのかわかっていなかったのだが、「連絡をください。」と文末に付けた句点が若者には怒っているように取られるということであった。中高年の私は開いた口が塞がらないくらいに驚いた。
LINEでも他のSNSでも一言で終了するようなことはなく、比較的長い文章を書いてしまう私には、句読点はなくてはならないもので、これらのないメール文は存在しない、くらいに思っていた。
著者は歌人であるゆえ一層言葉に対する感性が強いのであろう。日常生活の様々な場面で発せられる言葉の分析がとても興味深く、これまで意識もせず発している言葉やコミュ力に関して再考しようと思う。

