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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

活版印刷三日月堂 ほしおさなえ著

 以前、活版印刷で刷ったものを展示していたのを見たことがあった。時間をかけず眺めただけだったのだが、この小説を読んで俄然興味が湧いてきた。再びそんな機会があればじっくり観察してみたいと思わせるような小説の内容であった。

 活版印刷について詳細な解説を書かれているわけではないが、シリーズは全6巻で今回読んだのは1巻であるから読み通していけば活版印刷の世界にもっと深く入り込めるかもしれない。

 弓子は個個の依頼に応じて一枚一枚手作業で印刷する。持ち込んだ客の悩みが解決していく過程が温かく、とても味わい深い印刷物が出来上がっていく。温い小説である。

 川越に「櫻井印刷所」という印刷屋があるようだ。この小説のモデルなのかもしれない。もう50年近く前の川越を知っているが、その頃は「蔵の町」として観光地化され始めた頃であった。1924年に創業した印刷所はすでにあったようだが、私の目の中には入ってこなかった。現在の年齢になったから惹かれる手作業なのだろう。