灯台からの響き 宮本 輝(みやもと てる)著
中華そば屋を妻と一緒に切り盛りしていたが、妻が急逝して以降二年間店は閉めたままだ。このまま灯台巡りの旅に出て店は閉店かと思いきや、中華そば屋「まきの」は再開店する。無性に中華そばが食べたくなった。なんのてらいも無いシンプルなそばを。
高校を中退して父と共に毎日中華そばを作り続け、その後、妻との二人三脚。小さな社会で一日が終わる。淡々と時は過ぎ日々の営みは続いていく。小さな社会で40年余り暮らし続けたというのに、大量の読書を続けていたからなのか牧野康平から豊かな世界観を感じる。書物の世界に浸り続けると自ずと心が豊かになっていくのかもしれない。
階段国道339号にも石川さゆりの「津軽海峡冬景色」が大音量で流れていた。赤いボタンだったかどうか覚えていないが、私はそのボタンを押して竜飛岬で大音量と共に声を出していたのを思い出す。
「ニッポン灯台紀行」「渋江抽斎」「神の歴史」「夜明け前」この小説に頻繁に現れる本の名であるが、残念ながら私はこのうちの一冊も読んではいない。「灯台紀行」なら読めそうだ。足腰健全な間にいくつかの灯台を見てきたいものだ。