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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

なぜ日本人は学ばなくなったのか 齋藤 孝(さいとう たかし)著

 同年代の著者の主張はよくわかる。しかし本書はかなり過激な文章も多い。第二章:学びを奪った「アメリカ化」はどうであろうか。戦後日本がアメリカ化したのは事実であるが、一方的に悪いとも言えず、日本文化よりもアメリカ文化に親しんでしまったのも日本国による情報操作であったのかもしれない。30年以上も前、フランスを旅していたときにホテルのテレビから流れてきたアメリカの音楽に懐かしさを抱いたことを思い出す。日本に住みながらアメリカの大衆音楽が身体に刷り込まれていた事実に驚いた。

 また、第三章:「書生」の勉強熱はどこへ消えた?も多少時代錯誤ではないかとも思える。社会の変化で失われてしまうものはあり、それに代わって台頭してきた文化もあるのだろうと思う。

 確かに私の若かった頃に比べて本を読まなくなった人は多い。多くの文化に触れる機会が増え、読書に費やす時間が減っているのは確かであり、本を読んでいるから偉いわけでもないのだろう。ただ本を読んでさまざまな経験をし、自身の知識を固めていけたのはありがたいことであった。再び教養主義の時代が戻ってくるとは思わないが、学習して知識を増やせば人生はもっと面白くなるだろう。