ミレニアム7(上下) カーリン・スミルノフ著 山田文、久山葉子訳
「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」が刊行されたのは2005年。「ミレニアム1、2、3」の三部作は世界的な大ベストセラーとなった。このシリーズの作者スティーグ・ラーソンは亡くなりその後のシリーズ「ミレニアム4、5、6」はダヴィッド・ラーゲルクランツが書き継いだ。この後をスウェーデンの女性作家カーリン・スミルノフが「ミレニアム7、8、9」を書き継ぐ予定である。
スウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」をハリウッドリメイクした「ドラゴン・タトゥーの女」を観て私は小説を読み始めた。「1〜3」シリーズは本当に面白かった。初めて読んだ北欧ミステリー小説で、暗い人の闇、社会の闇等を映し出すダークな内容に衝撃を受けた。登場人物も多いので新しい名前が出る度に登場人物表を見返して主人公との関係を確認しながら読み進んだ。
作者が代わった「4〜6」も面白いのだがラーソンには及ばなかった。今回読んだ女性作家の作品はかなり登場人物の描き方が変わっていた。オリジナルの模倣から離れた作者独自のミレニアムが展開されていくようだ。詳細な登場人物の行動は書き込まれておらず、場面の変わり方が早い。白黒ハッキリさせた描き方ではないので、登場人物の最後がどうなってしまったのか読めない部分も多い。次の「8、9」で回収されるのかもしれないし、このまま読者の想像に任されているのかもしれない。私の読書欲があるうちにシリーズが完結するのを望んでいる。シリーズが発表されてもう20年近くの年月が過ぎているのだ。