百寿はそんなに目出度いことか 佐々木 学(ササキ マナブ)著
2021年3月末日まで約30年間長野県国保診療所の医者として在宅医療に携わってきた。70歳で現役を退きこの本を執筆したようである。「長野日報」に5年半65回にわたってコラムを連載していたということである。著者紹介の最後の一文が興味深い。”働き改革は賛成ではあるが面白くなくなるだろうね”現役時代、熱心に働いていなかった私が言うのもおこがましいが、著者の感想に同感である。働く時間は関係なく必死にやってこそ、見えてくるものは大きいだろうから。
地域医療や在宅医療の素晴らしさ、おもしろさ、楽しさを世に訴えてみたかった、という。私には十分伝わったが、人生100年時代を迎え老齢に差し掛かっている私が在宅医療を任せられる医師が将来そばに存在してくれることを切に祈るばかりだ。我が家の近くには「野の花診療所」があり週末ケアを専門にしてくれているが、院長の徳永先生も70代後半。その意思を継いでくれる医師が引き続き診療所で勤務してくれるとよいのだが。介護や死に関する書籍を何冊か読んできたが、様々な例を知れば知るほど死を迎えるのは容易ではない。