
ちょんまげぷりん 荒木 源(あらき げん)著
題名からして劇画的な作品だと想像して読み始めた。良い意味で想像を見事に裏切ってくれた作品であった。 主人公のシングルマザー、遊佐ひろ子と江戸から来た侍、木島安兵衛の関係は恋愛に発展するのかと思っていたが、安兵衛はひろ子に恩を感じていたもののそれ以上ではなく、あっけなく江戸へ通じる道へと吸い込まれていった。そして戻った江戸で侍を辞め菓子職人として働く喜びを見つけていく。
ひろ子は仕事の面白さに目覚めたのであったが、バリバリと仕事ができる環境ではなくなり、自ら降格を望み以前と同じ仕事を続けることになった。現実的な選択である。仕事にのめり込むことも可能ではあったが、ワンオペでは非常に厳しいものがある。友也が大きくなればキャリアも積めるようになるのだろうけれど。
働くことは楽しいことでもあるが、成果を常に出し続けるのは厳しい。子育て期間は子育てに全力をあげればいいのだろうけれど、仕事に目覚め機会を手にした場合手放すのは厳しい選択であろう。子どもに手のかからなくなった時にそのチャンスが巡ってくる保証はないのだから。
家庭を持ち働く女性が一般的になりつつあるが、現状は平坦ではないことも考えてしまうのだった。