
薬なければ病なし「薬剤師・毒島花織の名推理」 塔山 郁(とおやま かおる)著
薬剤師シリーズは現在6冊出版されている。私は初めて読む作家である。
全6話からなるお薬ミステリーである。小説自体がとても面白い、とは言えない。文章が硬く、人物描写が今ひとつだが、薬剤師の仕事の一端が垣間見られて興味深い。第5話では調剤薬局の仕事内容が詳しく描写されている。私は医者にかかることが多くないため、処方箋をもらうことがほとんどなく、お薬手帳を気にしたことがなかったのだが、薬局からもらう薬の成分について詳細な記述があることを改めて認識した。薬局に行くときは必ずお薬手帳を持参するのを忘れないようにしたい。
同じ第5話に「審査支払機関」についての説明がある。不正を働くのは簡単なように考えていたが、そうではないことがわかる。カラーコピーを使った処方箋の偽造に関する詳細な記述がある。最近「糖尿病治療薬が痩せ薬となる」そのため不正に糖尿病治療薬を入手する人が多いと報道されているが、発覚したのは「審査支払機関」の調査から見つかったのだろうか、などと想像してしまった。