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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

国宝(上下) 吉田 修一(よしだ しゅういち)著

 現在注目されている映画の原作である。地元で映画を楽しめそうにないので、せめて原作を読んでおきたくなった。原作を読んだ後に映画を見た時に期待は裏切られるだろうか、楽しみである。既に映画を観た知人に聞いたところ、当然のことだが、かなり原作と違っているようだ。通常の映画より上映時間は長いのだが、原作上下巻の小説を3時間余りで上映するのだから細かな部分は削られているのだろう。

 私は文楽鑑賞に力を入れていた時があり、そのおかげで小説に出てくる歌舞伎の演目の大半は文楽で観ている。そのため演目を見ればあらすじを思い浮かべることができ舞台の様子を想像しながら読み進める事ができたのはありがたい。

 上巻では喜久雄と俊介の才能が火花を散らす場面が多く、これから開花していくだろう二人の才能が楽しみな場面が続く。下巻では時間の運びが早く、まるでジェットコースターに乗っているように話は大きく展開していき読むことを止められなくなる。何かに惹かれるように舞台から客席を通り外へと彷徨い出た喜久雄はこのまま夢の中に儚く消えていくのだろうか。