介護未満の父に起きたこと ジェーン・スー著
82歳から87歳まで5年間の著者と父の様子が書かれている。ちょうどコロナ期にも当たっている。著者は東京在住であるから地方で暮らしていた私の生活とかなり違っていた。コロナの頃、私は単身で暮らしていたこともあり人と関わる事を神経質に考えなくて済んだこともあるのだろう。
障害にあたりその時々で著者にとっての最善策を探り困難を克服していった様子に感嘆する。また、それらを実践していくために多大な費用も生じる。毎月数十万のお金を捻出するためにそれこそ馬車馬のように働き続けている。たとえビジネス感覚でことに当たっていたとの述懐はあるにせよ、父への大きな愛情がなければできない事であろう。父子家庭で父を見守る責任から逃れない強い決意がある故だろう。
自分の生涯は自分で責任を持って欲しい、と現在介護中の私は思うのだ。サポートはするが親の老後の生活の責任は負い兼ねる。とても参考になる内容ではあったが、子だから老後の見守りをしなければいけないと考える必要もないだろうと思う。まぁ逃れられないのは事実で、家族であれば最終的に役所からの追及もあり対処は迫られるのだろうけれど。生命を終えるのは想像した以上に厄介な事だと実感している。

