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BOOK CAFE LAGOM

680-0824
鳥取市行徳3-757

本の紹介

消費される階級 酒井順子(さかい じゅんこ)著

 タイトルから想像していた内容とは違っていた。「差」を意識して書いたようであるが階級とまでは言えぬように思う。

 著者と年齢が近く共感する文章も多く、沢山の著者作品を読んでいた、と思っていたが、調べてみると想像以上に読んでいなかった。せいぜい2000年以降の著作物を読んでいただけだった。

 ”平和で豊かでぬるい時代に生まれて死ぬのだと思っていたが、間違いであった。震災やコロナ禍を経験し、デジタル化や日本の斜陽に揉まれ戸惑う日々が続いている”と「おわりに」で書かれているが、全く私も同様の感想だ。なんとなくぼんやりとさほど苦労もせぬまま生涯を終えられると思っていたが、人生甘くないようだ。しかし老いを感じるようになり厳しさに接するのは辛すぎる。災いは私の前を素通りしてくれますように!と願掛けしたい。

 「超高齢化時代のおばあさん格差」の項は全くその通りだと強く感じる年齢になってしまった。親の介護をしているので100年近く生きる大変さがひしひしと伝わってくる。”他人に迷惑をかけてはいけません”と育ってきたのに人生の最後になって周囲に迷惑をかけるという大罪を犯してしまう、という文章はいたく身に染みる。

 次は「老いを読む 老いを書く」を読んでみたい。