まぼろしを織る ほしおさなえ著
川越で染色工房を営む叔母の家に居候をしている主人公が、そこに同居し始めた従兄弟の綸を通して生きる意味を見出していく物語。
染色家の志村ふくみ、志村洋子を思い浮かばせるような内容だ。主要参考文献に志村ふくみの著作が何点か挙げられているので志村を想像したのは間違いではないようだ。そしてアトリエシムラで数度のワークショップを体験している。日本の色については吉岡幸雄の本からである。
本を読んでこれまで違いのわからなかった「生糸」「紬糸」の生成過程がようやく理解でき、藍建ても動画を見てわかっているつもりだったが、小説を読むことで一層の理解が進んだ。
女性画家・未都の転落死事故を絡めて話は進んでいくが、私にとってこの小説は染色、織物に触れる内容の方がずっと強いものであった。

