車椅子探偵の幸運な日々 ウィル・リーチ著 服部京子訳
「訳者あとがき」に残虐性が一切なく、ヒューマンドラマふうなミステリがエドガー賞の最優秀長編賞の最終候補に残ったのは意外な気がする、のコメントがある。全くその通りだ。ミステリ作品と思って読み始めた私はずっと肩透かしをくらい続けた。そんな状態ではあったが一体この作品はどんな結末を迎えるのか気になってしかたなかった。途中で投げ出さなくてよかった。
SMA(脊髄性筋萎縮症)という病気について少々詳しくなったような気もする。日々の生活がだんだん困難になっていく難病にも関わらず一人で生活ができることに驚かされた。(もちろん補助者は必要なのだが)現在のアメリカでは独立して生活はできるようだが、日本はどうなのだろうか。小説を通して個々の国の社会状況を知ることができるのはとても興味深い。
ここのところ海外文学それもミステリばかりを読み漁っているのだが、これまで日本のミステリ小説を読んで人種による差別や階級の違い、居住地域が持っている特色のようなものを強く意識することがなかった。お気楽日本にどっぷり浸っていたということなのだろう。
呑気に生涯を終えられるだろうと思っていたが、そうは問屋が卸さない状況になりつつあるようだ。

