鳩居堂の日本のしきたり豆知識 監修・鳩居堂
鳩居堂と聞いた時に思い浮かべるのは、日本一地価の高い土地に建っている老舗文房具店。または京都寺町の昔ながらの落ち着いた街並みにある老舗文房具店、か。マスコミに登場する頻度の高いのは”日本一の地価”の銀座鳩居堂であるが一体どれだけの売り上げがあり、高い固定資産税を支払っているのか、とても気になる。知っている人はそっと教えて欲しいものだ。
その鳩居堂監修の日本のしきたり。昔から私は日本のしきたりを日常生活の中に取り入れたいと考えていた。しかし、転勤が多く賃貸住宅のため腰を落ち着けて季節ごとのしきたりを思い出す時もない。ようやく暮らしは落ち着いてきたが心の余裕がない。そして季節のしきたりを取り入れられない最も大きな理由は生活形態が大きく変わってしまったことかもしれない。
例えば、第一章 ”季節の歳時 ”の中の「衣更え」「虫干し」。箪笥が無くなりクローゼットに衣服を納めている家庭も増えた今、衣更えの必要も無くなったのではないか。部屋が広くなければ虫干しさえ容易ではない。天気の良い日中に自宅にいることも少なくなった。
第三章 ”親しむ、遊ぶ ”の項目のどれくらいが一般生活に入り込んでいるだろう。「慶事とお香」四季折々の香を楽しみ、お正月やお祝いごとなど、それにふさわしい香りを楽しんでいたのはいつの時代までだっただろう。
第七章まであるのだが、知識として知ってはいるが私の日常の中にほとんど入り込んでいないしきたりばかりで愕然とする。ただ昨年から実家に戻り両親と暮らし始めていくつかのしきたりは生活の一部だ。要するに単身で転々と住処を変えながらの生活ではしきたりと縁がなくなってしまうのである。
家族も増えず、親戚も減るばかりの将来の日本にどれだけのしきたりが残っていくのか。時代により変わっていくのは当たり前だが、温暖化で四季を感じることも少なくなり、今回のコロナ騒動でそれぞれの行事も継承が困難になるのは想像できる。日本のしきたりの多くが遠い昔のものにならないことを願うばかりだ。