両手にトカレフ フレディみかこ著
著者は「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で2019年の本屋大賞を受賞している。英国在住であり、英国で保育士をしていた経験もあるので英国の階級、格差の問題をここまで書けたのかもしれない。日本でも近年大きく話題にされることが多くなったヤングケアラー。日本は第二次世界大戦以降の高度成長期に「一億総中流」という言葉が喧伝されていた。これは1970年代には国民の大多数が共有していたものであり、いまだにその感覚を持ち続けているためか「ヤングケアラー」の話が身近で起きていることさえ気づかない高齢者は数多い。とは言え鳥取でもフードドライブ(食品寄付活動)、子ども食堂も活動している。ただそれらがどれほど認知されているのか不明である。
私自身は比較的早くから「寄付活動」を行ってきた。職がなくなった現在は還付金の恩恵を受けることがなくなってしまった。金銭的余裕もなくなってきた今、寄付活動の停止を考えている。小説に登場するゾーイのような献身の心が芽生えると良いのだけれど。
小説では英国の階級格差が描かれているが、日本でも他国のことと言えなくなる日は足元まで忍び寄っている。特にコロナ禍で日本の階級差は広がったと言われている。未だコロナは収まってはおらず、コロナ共存の生活が始まることであろう。ウクライナでの戦いも終わりは見えず、民主主義国家の存在もだんだん危うくなっている。未来が明るいことを切に願う昨今である。