棺桶まで歩こう 萬田 緑平(まんだ りょくへい)著
著者は2000人以上を看取った元外科医の緩和ケア医。文章は似た記述が多数あり、活字のポイントも大きい。高齢者を意識して出版されているからなのかもしれない。
人の歩くスピードや歩幅でその人の余命がほぼわかる、と言う。余命というより寝たきりになるまでの期間といったほうがより正しいように思う。
日本人の健康寿命は女性75.5歳、男性72.6歳。平均寿命は女性87.1歳、男性81.1歳。平均寿命と健康寿命の差は男性が8.5年、女性が11.6年だという。「超」延命治療のおかげで、ベッドにほぼ寝たきりの時間はこれほど長い。
延命治療をしない家族は著者の経験では全体の3%程度しかなく、延命治療をしないと本人は希望しても家族がそれを覆して延命治療をするケースが大半らしい。日本は諸外国に比べ、患者をなかなか「死なせない国」のようだ。本人は十分生きたというのに、少しでも長生きさせたいのは、家族と医師たちだという。
がんは身体の痛みが大きい病であるという。しかし医療用麻薬を使えばがんにまつわる疼痛のほとんどが何とかなるらしい。痛みを感じたらすぐに使い始めれば、激痛に悶え苦しむことはほとんどないと書かれている。多くの人が(医療従事者さえも)「医療用麻薬は最後に使う薬」くらいの認識しかないのが大半だという。がんは老化なのでがんと闘う必要はなく「がんばって歩く」「医療用麻薬をじょうずに使う」ことができればがんに負けることはないようだ。
余計な延命治療を受けず苦しまないまま最後の時を迎えたいと思う。

